緊急点検・新興国市場―米中貿易戦争下のリスクと成長性を考える

山田雪乃・大和証券シニアストラテジスト
聞き手)牛山隆一・日本経済研究センター主任研究員
開催:
07月04日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(やまだ ゆきの) 国際大学大学院(国際開発学)修士。大和総研、大和証券CMシンガポールを経て、2013年から現職。アジア新興国・豪州の為替・株式、コモディティなどの投資ストラテジーを発信

■要旨
サプライ・チェーン変化で新興国に追い風も―代替生産基地として高まる存在感

①今回の米中貿易戦争は、両国の覇権争いの側面があることから長期化するのは必至だ。ただ、今年11月のAPEC首脳会議ごろのタイミングで何からの合意が成立する可能性はある。

②貿易戦争は、貿易量を減少させるだけでなく、アジアのサプライ・チェーンを変容させる。具体的には中国に代わる米国向けの生産・輸出拠点として、他のアジアの新興国・地域が存在感を高める可能性がある。その代表例がベトナムであろう。

③外部環境が不透明な中、足元では内需主導の成長を続けている国に注目している。具体的にはインドやインドネシアだ。インドは4~5月の下院選挙で勝利を収めたモディ政権が5年で160兆円のインフラ投資を実施するという政策を進めている。