米中のサイバー空間の覇権争いと日本

土屋 大洋・慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、日本経済新聞社客員論説委員
開催:
07月11日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(つちや もとひろ) 1999年慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了、博士(政策・メディア)。2005年同大助教授などを経て、11年から現職。著書に『サイバーセキュリティと国際政治』など

■要旨
「アトリビューション」能力カギ―日本はインテリジェンス重視を

①現在の世界では技術をめぐる米中の覇権争いが起きている。中国は「エミュレーション」、すなわち技術の「コピー・プラス・アルファ」により米国を追い上げている。米国はこれを懸命に止めようとしている。

②サイバー攻撃(CNA)とサイバー防御(CND)の間には広い中間領域がある。ここでの工作活動(CNE)がサイバーセキュリティーでは決め手になる。米国が中国の動きを懸念しているのはこの領域である。

③サイバーセキュリティーでは誰が仕掛けているかを突き止める「アトリビューション」能力が核心となる。これができれば相当の抑止力となるが、現在日本にはその能力がない。サイバー領域を含むインテリジェンス能力を高めることが重要だ。