内外経済・金融情勢と政策対応の展望

木内 登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト
開催:
07月23日(火) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(きうち たかひで) 1987年早稲田大学政治経済学部卒、 野村総合研究所入社。2007年同金融経済研究所経済調査部長兼チーフエコノミスト、12−17年日本銀行政策委員会審議委員などを経て、17年から現職

■要旨
世界経済の減速に脆弱な日本―インバウンドの持続力強化がカギ

①日本経済は製造業にやや下振れ感はあるものの、おおむね安定している。今年の消費増税の経済への悪影響は前回ほどではなく、米中貿易摩擦や日米貿易交渉の影響の方がより重要である。

②世界経済の変動以上に日本経済が大きく変動するという経済構造は、リーマンショック前から変わっていない。世界経済の影響に左右されにくい経済を実現するには、潜在成長率の引き上げなどが重要である。

③日銀に有効な追加緩和策は残されていないが、条件が整えば実施を迫られる。一方政府は、金融政策は既に目的を達成したと認識。日銀は正常化のフリーハンドを与えられている。

④フェイスブック主導の新通貨リブラについては、マネーロンダリングや金融政策への影響など問題を多く抱える。一方、その社会的意義やデジタル通貨における米中の覇権争いという側面を踏まえると、力ずくで計画を潰すのは難しい。