米中「冷戦」時代の日本のルール形成戦略

國分俊史・多摩大学大学院教授、ルール形成戦略研究所長
開催:
09月03日(火) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(こくぶん としふみ) 早稲田大学大学院公共経営研究科修了。IT企業の経営企画、シンクタンク、米国系戦略ファームA.T. カーニープリンシパル、米国系会計ファームヴァイスプレジデントパートナーを経て、2016年から現職

 

■要旨
経済安保のルール形成に対応を―日本企業、インテリジェンスに課題

①安全保障のルール形成は非連続で起こり、経済に優先する。米中の覇権争いは最低でも20年は続き、非連続かつ不透明なルールが次々と繰り出されるグローバルな戦いのなかに日本企業は置かれる。今までとは全く違う「新常識」での対応と高いインテリジェンス能力が求められる。

②根底の問題意識にはEconomic Statecraft(経済力を梃子にした外交施術)がある。米中両国はある企業のどこに影響を及ぼすと、どの程度の経済的なダメージを与えられるかを分析し、それへの対応戦略を採る。

③米国の2019年度国防権限法は様々な法律の組み合わせで複雑だ。だが、日本企業も輸出管理の対象技術の拡大や高いレベルの技術規格への対応を急がなければ、競争力を失う可能性がある。日本政府は米国の機密情報にアクセスできるセキュリティークリアランス制度について、資格をもつ米国人を日本企業が活用しやすいような環境整備に乗り出す必要がある。