- 開催:
- 09月06日(金) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社大阪本社ビル 1階カンファレンスルーム
米国社会で新たな変化が起きています。若い世代に広がりつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)とは何か。来年の大統領選で有権者数でも最大集団となるミレニアル世代の価値観と重なる点が多いといわれます。米国各地を訪れ、新著『リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義』が話題の渡辺教授に、大統領選を見据えて、米国社会の変容と今後、日本への含意を聞きます。
■講師略歴(わたなべ やすし)
1990年上智大学外国語学部卒、97年ハーバード大学博士。オクスフォード大学シニア・アソシエート、ケンブリッジ大学フェローなどを経て、2005年から現職。専門はアメリカ研究、文化政策論
著書に、『リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義』(中央公論新社、2019年)、『<文化>を捉え直す カルチュラル・セキュリティの発想』(岩波書店、2015年)
『沈まぬアメリカ 拡散するソフトパワーとその真価』(新潮社、2015年)、共著に『民主主義は不可能なのか?: コモンセンスが崩壊した世界で』(読書人、2019年7月3日)など
■講演録要旨
台頭が目立つ「ペイリオコン」
―最大関心事は激戦5州の勝敗
①米国では白人至上主義者が台頭している。米国では移民の増加で白人が総人口の半分を切ることが避けられないため、肩身の狭い思いをしなければならないという危機感を持つ人たちだ。
②この白人至上主義に非常に近いのが、「ペイリオコン」という考え方である。白人のミドルクラス、そして、キリスト教を中心とした社会秩序を維持してきた、よき時代に戻ろうという考え方で、グローバル化や、同盟関係などの国際関与を否定する。この考えを政治的に体現しようとしているのがトランプ政権だ。
③2020年の大統領選の行方は不透明だ。米国景気が後退している可能性が否定できず、有力な第3の候補が表れる可能性もあるためだ。最大の関心事は激戦が予想される5州の勝敗。トランプ氏が不利と言われているが、アウトサイダーとしてのトランプ氏にもう1度賭けようという声が強まってもおかしくはない。
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