シリーズ データサイエンスの潮流 (第4回)

ウェザーテックで変わるビジネス―AI×気象データ最前線

越塚登・東京大学大学院情報学環教授
開催:
10月02日(水) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(こしづか のぼる) 1994年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。東京大学情報基盤センター助教授などを経て、2009年から現職

 

■要旨
気象データの利活用分野が拡大―他分野とのデータ連携基盤構築が急務

①気象と経済の相関関係は古くからよく知られているが、人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる(IoT)の進展によって、気象ビジネスはウェザーテックとして現在、転換期を迎えている。

②ウェザーテックは国内でも様々なビジネス活用例が存在する。小売りの分野においては、コンビニエンスストアの発注システムや飲料自動販売機での販売促進への活用、交通の分野ではタクシーのリアルタイム需要予測への活用といったものが挙げられる。一方、気象データの活用期待度が最も高いと思われる農業分野においては、ウェザーテックの活用は進んでおらず、その取り組みは端緒についたばかりである。

③日本では気象データの取り扱いに関する規制が多い。誤った気象データが拡散することは大きな社会的影響を与えるためであるが、誰もが気軽に気象データを計測できるIoTの時代にあっては考え方を変え、気象データのオープンな流通環境を整える必要がある。また、気象データを他の分野(公共交通・産業)のデータと連携できる基盤を作ることが、スマートシティの実現に向けて急務となっている。