- 開催:
- 10月10日(木) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
■講師略歴
(かとう いずる) 1988年横浜国立大学経済学部卒、東京短資入社。2013年から現職。マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、BOE、中国人民銀行などの金融政策を分析
(しおじ えつろう) 1995年イェール大学経済学研究科博士課程修了、Ph.D.。横浜国立大学経済学部助教授などを経て、2007年から現職。15年日本経済学会石川賞受賞
■要旨
もがき続ける主要中央銀行―民間予想形成の「厳しさ」「こわさ」とは
①米国ではレポ市場の混乱、欧州ではドイツの緊縮財政、日本では上昇しない物価など、依然として金融緩和縮小に向かい難い要因が複数存在する。足元では、主要中央銀行は緩和縮小に向かうことができていないどころか、追加緩和を余儀なくされつつある。
②「伝統的」・「非伝統的」金融政策の違いは金融政策と財政政策が分離しているか否かだ。両者の分離を前提とした「伝統的」政策の歴史は実はそれほど長いものではない。中央銀行のトラックレコードによって勝ち取った民間の信認こそが「伝統的」政策の基盤であり、この「心理的壁」を壊してしまったときにこれを元通りに回復することは容易ではない。
③日本が財政政策によって出口を目指す場合は、それが長期的な財政の持続可能性と矛盾しないことについて十分に信認を得なければならない。過度に物価にとらわれ、民間予想形成を甘くみたMMT理論などに依拠した政策を行うことは非常に危険である。