ポスト複合危機の欧州とブレグジット

遠藤乾・北海道大学公共政策大学院教授
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
11月15日(金) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(えんどう けん) 1991年北海道大学大学院法学研究科修士。ベルギー・カトリック・ルーヴァン大学修士、オックスフォード大学博士。2006年から現職。専門は国際政治(EU研究)

 

■要旨
「複合危機」去るも課題は消えず―ポピュリズムが政党政治を分断

①2010年代は欧州にとって「複合危機」の時代だった。ユーロ危機、ウクライナ危機、移民・難民危機、ブレグジットなどが互いに連動して生じていた。しかし、現在は欧州連合(EU)加盟国からのEU・ユーロ支持が高水準にあり、かつ極右勢力がEU離脱から方針転換しており、危機は脱したとみなしてよい。

②EUの諸問題が完全に消えたわけではないが、それらが起きている地域は地理的にも分散しているため、深刻化していない。諸問題の根本にあるのは中間層の不満から生じたポピュリズムである。また軍事安全保障の分野で欧米間の対立が深まっている。

③英国はEU離脱期限を来年1月に延期し、今年12月に総選挙を迎える。保守党が勝利し、予定通りEUと合意して離脱するのがメインシナリオではあるが、野党(労働党、自由民主党)が連立を組み、離脱をひっくり返すシナリオもありうる。たとえ離脱したとしても、その後もEUとの関係を整序する交渉は続く。その結果、英国が「ノーディール」の状態に陥ることも考えられる。