日本の財政金融政策―新しい枠組み

小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹
開催:
12月04日(水) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(こばやし けいいちろう) 東京大学大学院工学修士、シカゴ大学経済学博士。経済産業省を経て、2013年から慶応義塾大学経済学部教授。19年から現職。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹を兼務

 

■要旨
財政信認がもたらす政策余地―信認に「危機対応プラン」有効

①日本経済は今後も低金利・低インフレが継続すると考える。これは、極端に不確実な環境下で安全資産である国債の需要が増大し、金利が成長率よりも低い状況が長く続くためである。この状況を財政信認の確立によって維持することで、財政再建と必要な政策への財政支出の両立が容易となる。

②財政信認の維持のためには、プライマリー・バランスの健全化目標堅持と、財政危機時の対応プランを政府・日銀が作成することが求められる。

③金利が成長率よりも低い環境ではインフレが起こりづらく、いくら政府・日銀がインフレ・ターゲットにコミットをしてもデフレとゼロ金利が継続する。

④財政のように世代間の利害が対立しやすい長期的な政策課題の解決には「フューチャー・デザイン」の活用が有効である。すでにいくつかの地方自治体で用いられており、将来的には国の政策決定の場でも活用できる可能性がある。