暗号通貨は国家を超えるか―多様化する通貨とお金の流れ

坂井豊貴・慶応義塾大学経済学部教授
開催:
12月12日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(さかい とよたか) 2005年米ロチェスター大学で経済学博士号取得。横浜国立大学准教授などを経て、14年から現職。専門は暗号通貨、投票システム、オークション方式などの制度設計。近書に『暗号通貨vs.国家』

 

■要旨
ネットワーク効果発揮がカギ―普及阻む規制は解除が必要

①ビットコインはお金のあり方を一変させた。その基礎となっているブロックチェーン(分散型台帳)技術は不特定多数による分散管理を可能とする。人間が作った分散システムとして画期的な成功例といえる。

②貨幣の役割は「交換の媒介」である。この役割を果たすためには「価値の保存」ができなければならない。電子情報はその候補として有力である。ビットコインは10年間で総価値がゼロから約16兆円にまで達し、価値の保存の面では有力な手段となっている。

③「お金」の多様化は今後も進む。SNS(交流サイト)の「いいね」と「お金」の間のようなものができたり、有価証券とお金の境界があいまいになっていったりする。普及を阻害する余計な規制は解除すべきである。