シリーズ デジタル資本主義 (第1回)
どうなる日本経済と世界
- 【講演】14:00-14:30
- 岩田一政・日本経済研究センター理事長
- 【パネル討論】14:30-16:00
- 栄藤稔・大阪大学先導的学際研究機構教授
- 森川博之・東京大学大学院工学系研究科教授
- 岩田一政
- 司会) 小林辰男・日本経済研究センター主任研究員
- 開催:
- 01月10日(金) 14:00~16:00
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム
■講師略歴
(えとう みのる)松下電器産業、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)、NTTドコモのシリコンバレー拠点を経て、同執行役員としてNTTドコモベンチャーズ(投資会社)や新規事業を担当。2017年7月から現職
(もりかわ ひろゆき)1992年工学博士(東京大学)。2006年から現職。モノのインターネット/M2M/ビッグデータ、センサネットワーク、無線通信システム、情報社会デザインなどの研究に従事
■要旨
AI実装でDX、新規ビジネスを創出せよ―個人データ管理の法整備も不足
①日本経済の将来の縮小が予想される中、デジタルへの対応は極めて重要な課題である。しかしAIの分野で最も重要とされる社会実装と実験の面で日本は中国に比べ大きく遅れをとっている。インセンティブに乏しく、過去、日本のソフトウェア産業は受託ばかりで自力でのビジネス展開に取り組んでこなかったツケが回ってきている。個人データを個人で管理できるための法整備も日本は進んでいない。
②日本の産業が生き残るには、デジタルが生む新しい価値観を求め、多様な観点から異業種連携を進めることが求められる。現場に隠れたニーズと技術をマッチングするカタリスト(触媒)となる人材により多くのリソース(資金や権限)を配分することが重要だ。
③政策として今求められるのは、ビジネスにつながるテクノロジー企業を育成することであろう。だが同時に、企業の無形資産投資を促進すること、政策の効果を測定するための統計を整備すること、経済社会のデジタル化を推進して気候変動リスクを抑制することにも取り組まなければならない。経済社会のデジタル化(DX)の推進は新規ビジネスの創出にも気候変動対策にも大いに役立つ。