変わるグローバルサプライチェーン ―対応遅れる日本の製造業

長内厚・早稲田大学大学院経営管理研究科教授
開催:
01月15日(水) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
(おさない あつし) 1997年京都大学卒、ソニー入社。商品企画、技術企画、商品戦略担当事業本部長付などを歴任。神戸大学准教授、早稲田大学准教授などを経て、2016年から現職。京都大学博士(経済学)

 

■要旨
日本も国際分業に活路を―垂直統合型、技術偏重の見直し必要

①現在のグローバルサプライチェーンのリーダーの多くは「全部はやらない企業」だ。国際的に分業しながらもサプライチェーン全体を支配している。その点、日本の製造業は過去の変化のスピードが緩やかなときに有効だった垂直統合的な組織のままで、競争優位の源泉は内製技術のみだと誤解している。

②経営目標において、「効率性」と「効果(多様性)」はトレードオフの関係にある。この2つを中途半端にしてはいけない。ムダを徹底的に排除することで効率性を求めることと、計画的にムダを認める、ムダを管理する効果的な経営とは真逆の方向を向いている。環境に応じてこの2つを区別して考えることが重要である。

③国際的な分業の中で技術一辺倒ではなく、あらゆる経営資源を総動員して分業の中でも優位性と収益を確保していくことが今後の鍵になってくる。