日経センター「アジア研究」報告

<大阪>米中技術覇権競争と日本 *4/23 開催延期分 

関山健・
京都大学大学院総合生存学館准教授
司会)
伊集院敦・
日本経済研究センター首席研究員
開催:
07月15日(水) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社大阪本社ビル 1階カンファレンスルーム

米中両国の技術覇権競争が激しさを増しています。両国の貿易戦争は1月に「第1段階の合意」に達しましたが、先端技術をめぐる大国同士の攻防はむしろこれからが本番です。両国で技術覇権競争を意識した新ルールが次々に施行され、日本企業への影響も避けられません。新型コロナウイルスのパンデミック後の両国の対立の行方を含め、米中関係に詳しい関山氏に最新の動向や日本の対応について聞きます。

■講師略歴(せきやま たかし)
大蔵省および外務省で勤務後、研究者に転身。日本、米国、中国の各大学院で学び、大学、シンクタンク勤務を経て2019年から現職。専門は国際政治経済学、環境政治学、開発政治学

■講演録要旨
対立続くが軍事衝突は回避へ
―日本は米中説得の外交努力を

①経済の相互依存が強い米国と中国が対立を深めている理由の1つは、米国が非民主体制の新興大国である中国に「疑心」と「不安」を抱いていることだ。経済相互依存は紛争拡大に対しては抑止力として働くので、軍事衝突への発展は当面は回避される。
②ただ、経済に壊滅的打撃を与える軍事衝突は回避されると、両国の指導者が認識しているため、外交対立や経済摩擦を我慢しなくなる「遠慮の欠如」が起きている。貿易競争で劣勢に立つ米国が、国内比較劣位産業を保護する「内政重視」政策を取っていることも、米国が中国に強硬姿勢を取る理由の1つである。
③2020年代は米中の外交経済関係の対立が続くが、軍事衝突は起きない。しかし、両国の経済デカップリングが進むようだと、30年代には「破滅への道」をたどりかねない。日本はEUやASEANなどと連携し、米中の経済関係強化に向け外交努力をすべきだ。

--

ご参考) Webセミナー・資料・読むゼミの最近の掲載(目次)はこちら