<大阪>新型コロナワクチン開発の展望と課題

森下竜一・
大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授
開催:
10月22日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社大阪本社ビル 1階カンファレンスルーム

新型コロナウイルスのパンデミックにより世界の社会・経済は大きな打撃を受けています。感染対策の切り札となるワクチンの実用化に向け、各国で開発の取り組みが活発になっています。森下氏は創業にかかわったバイオ企業のアンジェスなどと共同で「DNAワクチン」の開発を進め、6月末から治験も始めています。新型コロナワクチン開発の現状や今後の展望、課題について聞きます。

*講演録(読むゼミ)を掲載しました(2020.11.09)

■講師略歴(もりした りゅういち)
1991年大阪大学医学部大学院修了。米スタンフォード大学客員講師、大阪大学大学院医学系研究科助教授、2003年から同寄附講座教授。内閣官房健康・医療戦略参与、大阪府・大阪市特別顧問などを務める。近著に『新型コロナの正体 日本はワクチン戦争に勝てるか!?』 (長谷川幸洋氏との共著、ビジネス社、2020年5月)、『どうする!? 感染爆発!! 日本はワクチン戦略を確立せよ!』(同、8月)。

■講演録要旨
DNAワクチンの開発進める
―安全性に優れるが、量産が課題

①新型コロナウイルス感染症は、感染力が最も強くなるのが発症直前で、感染しても軽症または無症状の人が多いことから世界的大流行になった。この感染症の恐ろしい点は、高齢者や基礎疾患を持つ人の重症化率が高く、死に至るリスクがあることだ。マスクの着用や「3密」を避けるなどの予防策を徹底したい。
②特効薬はまだない。獲得免疫で感染・重症化を防ぐワクチンもまだ実用化されていない。現在開発が進むワクチンには、ウイルスワクチン、ウイルスベクターワクチン、核酸ワクチンなどの種類があり、企業間競争が激しいが、いずれも一長一短がある。
③アンジェスなどが共同開発中のDNAワクチンは核酸ワクチンの1種で、プラスミド(環状)DNAを利用して抗体をつくる。優れた安全性を持つという特徴があり、すでに2カ所で臨床試験を終えている。課題は生産体制。量産への協力企業を増やしたい。

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