安倍政権から菅義偉政権へ 日本経済再生の課題を考える

田中秀明・明治大学公共政策大学院教授
聞き手)小林健一・日本経済研究センター主任研究員
開催:
11月20日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(たなか ひであき) 東工大院修了、旧大蔵省(現財務省)へ入省。オーストラリア国立大学客員研究員、一橋大学経済研究所准教授、内閣府参事官を経て現職。政策研究大学院大学博士

 

■要旨
政策立案のプロセスを見直せ 安倍前政権の検証必要

①アベノミクスは株高と円安をもたらし、有効求人倍率や失業率は改善した。他方、実質GDP成長率は民主党政権時代と比較して高いわけでなく、家計消費も伸びていない。経済成長すれば財政再建できるとしていたが、財政再建は先延ばしにされた。

②安倍前政権は政権運営のガバナンスを強化し、政治主導を確立したが、ガバナンスは政権維持に使われた。「8年近い長期政権は驚異的だが、成し遂げたものは中途半端である」との有識者の指摘は的確だ。

③他方、政策立案のプロセスは著しく劣化した。重要政策が官邸主導で「結論ありき」で決定され、科学的な分析、検討や合意形成がおろそかになった。政策立案のプロセスの劣化には、幹部公務員の一元管理が拍車をかけている。幹部人事における首相や官房長官の裁量が大きくなり、官僚は左遷人事を恐れて政策の問題点や不備を指摘できなくなっている。