中国の双循環戦略と資本市場改革

関根栄一・野村資本市場研究所北京事務所首席代表
聞き手)伊集院敦・日本経済研究センター首席研究員
開催:
01月20日(水) 14:00~15:00
会場:
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■講師略歴
(せきね えいいち) 1991年早稲田大学法学部卒、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)入行。財務部、北京駐在員事務所等を経て、2006年野村資本市場研究所入社。10年から現職

 

■要旨
対外開放と内需拡大を両立―イノベーション型企業を国内市場で育成へ

①コロナ禍で2020年の実物消費は厳しかったが、オンラインでの消費が伸びた。自宅にいた人々が株式投資に参入し、モバイル決済は金融取引での利用も伸びた。後戻りできない大きな変化があった年だ。

②第14次5ヵ年計画で発表された双循環戦略は、対外開放を進めつつも、対外的な経済関係が停滞しても内需で経済成長を支えるとの考え方に基づくものだ。金融分野では直接金融の拡大が重視されており、目玉は上海の新興市場「科創板」だ。イノベーション型企業の国内市場への上場を促進し、株式市場を育てる取り組みだ。

③金融分野では米中交渉の中で対外開放とデカップリングが並行して進んだ。外資企業の出資上限撤廃など開放の動きがある一方、法制度面でのデカップリングが進んでいる。