米バイデン政権の経済政策の焦点

峰尾洋一・丸紅米国会社ワシントン事務所長
開催:
01月22日(金) 10:00~11:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(みねお よういち) 1990年慶應義塾大学商学部卒、丸紅株式会社入社。2009年財務部ストラクチャードファイナンス室長、11年丸紅米国会社事業推進チーム長、16年電力プラントグループ・グループ企画部副部長などを経て、17年から現職

 

■要旨
「国内回帰」で製造業の雇用を拡大―環境対策、格差是正にも注力

①コロナ禍により、米国の経済は大きな打撃を受けている。外出禁止という人為的な消費抑制による消費落ち込み、失業率の上昇は、早い時期の対策により回復基調にあるが、回復力は鈍化している。これに対しバイデン政権は、2段階の経済政策で臨む。

②足元では、第1弾の1.9兆ドルのコロナ救済プランでワクチン接種と消費回復までの時間稼ぎを図るが、最低賃金の15ドルへの引き上げは議論を呼ぶだろう。今後数週間以内に発表するとみられる第2弾では、雇用創出、雇用の質の改善、経済格差解消に焦点を当てられ、製造業の国内回帰、組合を活用した労働者の待遇改善、マイノリティ支援などを展開する一方、富裕層や企業からの増税により賄うと考えられる。

③通商政策では、対中政策はレトリックが洗練されても実態はトランプ政権と大きく変わらないだろう。また気候変動といった政権の重要テーマや、国務長官候補をはじめとする政権の顔ぶれから、欧州との相性の良さは明らかで、それが今後のアジアや日本への対応に影響するのか注目される。