国際課税ルール見直しのゆくえ―日本企業への影響

吉村政穂・一橋大学大学院法学研究科教授
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
02月05日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(よしむら まさお) 1999年東京大学法学部卒、同年東大大学院法学政治学研究科助手。横浜国立大大学院国際社会科学研究科准教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを経て、18年から現職。専門は租税法

 

■要旨
デジタル課税巡る欧米対立に変化の兆し―非デジタル日本企業、新たな負担も

①国際課税ルールの見直しは経済協力開発機構(OECD)の課税当局などが中心となり、二重課税排除に重点を置いた、課税権配分ルールに関する議論がかつてはその中心だった。多国籍企業における事業形態の変化や、デジタル企業の台頭を受け、20カ国・地域(G20)による議題設定のもと、近年は過度な租税回避に対する対抗措置に注目が集まりはじめている。

②デジタル課税導入を進めたい欧州諸国と、自国のデジタル企業への狙い撃ちを懸念する米国との間で対立が深刻化した結果、議論は膠着状態に陥った。

③今年誕生した米バイデン政権は国際課税協議への復帰を表明しており、最低税率に関する各国間の合意が形成されつつあることを背景に、交渉が加速する可能性も出てきた。その合意内容や議論の進捗によっては、日本の非デジタル企業に新たな税負担や事務負担がかかる懸念もあり、事態の進展を注視する必要がある。