2021年の経済:Great Resetに向けて

竹中平蔵・日本経済研究センター研究顧問
開催:
02月09日(火) 14:00~15:00
会場:
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■要旨
今こそ前向きな経済政策に注力すべき―競争政策の「リデザイン」が成長のカギ

①「Great Reset」の3つの重要な柱は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展、グリーン化の促進、ステークホルダー・キャピタリズム(利害関係者を優先した資本主義)への移行である。新型コロナウイスの感染拡大は企業・個人・社会の弱点をさらけ出したが、日本においては総理大臣に強い命令を行う権限がなく、社会のガバナンス上の問題が明らかになった。

②菅義偉内閣の2020年度第3次補正予算約20兆円は、マクロ経済運営という観点からみれば評価できる。国内経済は厳しい状況が続いているが、前向きな経済政策として今から注力すべきは、「スーパーシティ」(次世代スマートシティ)の実現、統合型リゾート(IR)の実現、そして競争政策である。

③競争政策を“リデザイン”し、健全で公正な競争環境を構築することが重要である。具体的には、既存マーケットにおける競争環境の構築、独占的なマーケット構造に対して競争圧力がかかる仕組みの実現、そして競争政策をリデザインするために公正取引委員会のアドボカシー機能の強化が必要である。競争政策のリデザインによる公と民のバランスの良い市場競争が日本全体の成長を促す。