脱炭素への道―カーボンプライシング導入の課題

玉木林太郎・国際金融情報センター理事長
開催:
02月19日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(たまき りんたろう) 1976年東京大学法学部卒、大蔵省入省。財務省国際局長、財務官、OECD(経済協力開発機構)事務次長を経て、2017年から現職

 

■要旨
炭素税を軸に日本も実現検討を―コスト意識高め排出量削減へ

①脱炭素社会実現のためには、化石燃料からの脱却が必要だ。これは現在の経済・社会システム全体の変換をもたらすものである。多くの企業のビジネスモデルが影響を受け、適応できるかどうかで勝者と敗者が分かれる。これからの10年が重要だ。

②社会・経済システムの大変革を成し遂げるためには、市場メカニズムを働かせることが必要になってくる。炭素税または排出権取引(ETS)の導入で、二酸化炭素(CO₂)の排出に価格付けするカーボンプライシングが不可欠だ。「排出にはコストがかかる」という意識を企業などが持つことで脱炭素が進む。

③炭素税はCO₂の価格を明示できるが、どれくらい削減できるかは決まらず、税に対する反発を抑えるための還元策も必要になろう。ETSは逆に排出量は決まるが、市場取引価格を予見できない。枠の配分で不公平感が高まる可能性もあり、日本は炭素税のほうが向いているだろう。カーボンプライシングで負担が生じる企業の製品が輸入製品に対し不利にならないようにする対策も検討課題になる。