米国の分断社会と民主主義の行方

中山俊宏・慶応義塾大学総合政策学部教授、日本国際問題研究所上席客員研究員
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
03月16日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(なかやま としひろ) 2001年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科博士課程修了。ワシントンポスト紙記者、ブルッキングス研究所招聘客員研究員、ウィルソン・センター・ジャパン・スカラーなどを歴任。14年から現職

 

■要旨
「普通」のバイデン政権が最適―譲歩・妥協が新たな可能性に

①米国では政治的二極分化が進んだ結果、合意形成が難しく大きな決断を下せない状況に陥っている。冷戦の終焉や統治思想の変化、政治的なゼロサムを加速させるアジェンダの問題、保守主義の浸透、情報空間の変容の5つの国内的要因が二極分化を加速させた。

②これまでの政権も分断を修復しようと試みてきたが上手くいかず、逆に分断を加速させた。トランプ氏は共和党を変質させ、民主党でも若年層が従来型のリベラルを信用せずアグレッシブな役割を政府に求めるようになった。二大政党とうまく重ならない現在のイデオロギー状況が今後整理され、大きな再編成につながる可能性がある。

③反トランプの支持を集め発足し、期待値が低かったバイデン政権だが、譲歩・妥協を模索する政治スタンスは分断が進んだ今の米国にとって最適の選択だった可能性がある。外交面でもアジア政策は明確な立場であり、同盟国である日本も今後立場を明確にしていく必要がある。