再生可能エネルギー普及拡大の経済効果と技術課題
- 天野浩・名古屋大学未来エレクトロニクス集積研究センター長、教授
- (2014年ノーベル物理学賞受賞)
- 聞き手)矢野寿彦・日本経済新聞社論説委員兼編集委員
- 開催:
- 04月07日(水) 11:00~12:00
- 会場:
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*収録動画および資料の配信は終了いたしました
■講師略歴
(あまの ひろし) 1980年名古屋大学工学博士。2002年名城大学理工学部教授、10年名古屋大学大学院工学研究科教授、15年から現職。11年から同大学赤﨑記念研究センター長を兼任
■要旨
窒化ガリウムで脱炭素実現へ―次世代担う人材育成にも注力
①日本は2050年のカーボンニュートラル達成目標を掲げた。再生可能エネルギー(再エネ)の普及を拡大し、廃プラ対策やDACCS(大気中のCO2直接回収・貯留)の本格導入などを進めれば、それは可能だ。再エネ普及などに伴うコストは、化石資源の輸入額減少で十分相殺でき、むしろ収支は黒字になる。
②私たちはカーボンニュートラルの実現にGaN(窒化ガリウム)が大きく貢献すると考えている。電気自動車(EV)のインバータに使用できるほか、再エネの供給・蓄積を管理する高速IPC(インテリジェントパワーコンディショナー)というシステムにも使えるからだ。再エネによる余剰電力をEVに送る無線電力伝送でも、GaNの使用は不可欠である。
③名古屋大学には研究開発用のクリーンルームを持つ、世界で唯一のGaN専用研究施設がある。オープンイノベーション組織としてのコンソーシアムも立ち上げた。今後の課題は、次世代のイノベーションを創出する人材育成。「DII協働大学院プログラム」と名付けた人材育成事業にも注力したい。