- 開催:
- 05月19日(水) 14:00~15:00
- 会場:
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■講師略歴
(たかはし てつし) 1993年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、日本経済新聞社入社。経済部、NQN香港駐在、政治部などを経て2003~04年に北京大学に留学。07~12年中国総局(北京)、17~21年中国総局長、21年4月帰任
■要旨
習体制、コロナでより強固に―米と対等に 高まる台湾リスク
①コロナ危機は習近平(シー・ジンピン)体制を強くした。米欧が危機の泥沼にはまる一方、中国は新型コロナウイルスを封じ込め、いち早く経済が回復したことで国内の支持が高まった。また感染対策の中で「社区」という中国共産党の最末端の行政組織が存在感を発揮し、これを通じて党の意向が隅々まで行き渡り、体制がより強化された。香港国家安全維持法の制定も、香港にあまりよい感情を持っていなかった普通の中国人の習指導部への支持を高める一因となった。
②習氏の最終目標は2049年までに中国をアメリカと対等以上の国にすることだ。毛沢東氏が日本に勝つために採った三段階の『持久戦論』に学んだかのように、習氏はバイデン政権に対し、二国間の「戦略的防御」から次の「戦略的対峙」へと段階を引き上げた。最後が「戦略的反抗」だ。
③台湾で軍事衝突が起こるリスクは今後、高くなる。習氏は武力統一も辞さない構えをみせており、台湾海峡を挟んで武器の物量ではもう米軍と台湾を圧倒している。台湾は世界最大の半導体生産地でもあり、アメリカも引けない。2022年2月の北京冬季五輪後、習氏は3期目を目指す22年秋の中国共産党第20回大会を控え、アメリカに弱腰を見せられなくなる。