コーポレートガバナンス・コード再改訂と東証市場再編

神田秀樹・学習院大学大学院法務研究科教授
聞き手)藤田和明・日本経済新聞社金融・市場ユニット長
開催:
05月21日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(かんだ ひでき) 1977年東京大学法学部卒。82年学習院大学法学部助教授、88年東京大学法学部助教授、93年同教授。2016年から現職、東京大学名誉教授

 

■要旨
多様性、ESG、高水準の規範も―新市場区分見据え、企業統治加速

①6月11日に東京証券取引所が改訂版を施行した「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)は2015年6月に導入され、そこから企業の成長を目的とした日本の「攻め」のコーポレートガバナンス改革が始まった。「ボード」と投資家との「対話」に焦点を当てた。3年ごとに見直し、今回の再改訂では多様性、サステナビリティ(持続可能性)、知的財産などが柱だ。

②再改訂に際しては「監査の実効性」「グループ・ガバナンス」など前回改訂で積み残した課題に加え、施行後に実施される東証の市場区分再編、「取締役会の機能強化」「中核人材の多様性推進」など菅政権になって出てきた追加事項も合わせて3つの流れが交錯。議論の出口も金融庁や東証などの文書に分散し、これらをまとめて理解しなければならない難しさがある。

③現在の東証5市場は来春、「スタンダード」「プライム」「グロース」の3区分になる。上場企業はコードの再改訂を踏まえて、どの市場に行きたいかを9月から申請する。「コンプライ・オア・エクスプレイ」が求められる範囲が変わり、プライム市場には特別な上乗せ基準もあるうえ、移行時は「コーポレート・ガバナンス報告書」の提出が複数回求められるため、注意が必要だ。