第58回通常総会講演
バイデン米政権と日本外交の進路

杉山晋輔・前駐米大使
聞き手)藤井彰夫・日本経済新聞社常務、論説委員長
開催:
06月23日(水) 14:30~16:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(すぎやま しんすけ) 1977年外務省入省。アジア大洋州局長、外務審議官等を歴任し16年外務事務次官、18年1月より2021年2月まで駐米大使

 

■要旨
対中政策、日本の構想発信を―消えない米国社会の分断

①トランプ政権は米国社会の分断や格差の存在、そして歴代の政権がその解消に十分努力してこなかった実態をあからさまに指摘した。いわば「パンドラの箱」を開けてしまったのであり、払拭は容易ではない。

②米民主党勢力は現在、上下両院とも盤石ではないため、バイデン大統領は中間選挙に向けて、内政での景気浮揚などスピーディーな政策実行を迫られている。日本側も緊張感をもって、スピーディーに対応することが必要だ。

③外交面でバイデン政権の優先順位の第一は対中政策で、前政権と違い、明確に同盟国との連携重視に舵を切った。最も期待している先は日本で、単にコストの分担ではなく、責任の分担を求めている。一方で経済関係などから、日本の対中政策は米国と完全に同一ではない。日本として対中政策の見取り図を示し、きちんと発信していくことが重要な局面になっている。