アメリカの経済政策の変容

清滝信宏・プリンストン大学経済学部教授
開催:
07月21日(水) 10:00~11:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(きよたき のぶひろ) 1978年東京大学経済学部卒業、85年ハーバード大学博士課程修了(Ph.D.)。ウィスコンシン大学助教授、ミネソタ大学准教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授などを経て、2006年から現職、ニューヨーク連邦準備銀行学識顧問を兼務。「清滝・ムーアモデル」の構築などで1997年中原賞受賞ほか海外で受賞多数

■講演録要旨
格差是正へ税、競争政策見直し―政権、コロナ禍の悪影響も警戒

①米国で所得格差が拡大している背景に3つの傾向を指摘できる。(1)IT化・ロボット化の進展に伴い、中間レベルの技能職に対する人材需要が減った、(2)税制が高所得者に有利になった、(3)労働分配率(付加価値に占める賃金の割合)が低い巨大企業の伸長によって、経済全体の労働分配率が低下したことである。コロナ禍では格差がさらに拡大する恐れがある。低賃金の雇用は回復が遅れているのに対し、高賃金の雇用は早くもコロナ禍の前の水準を上回っている。

②バイデン政権は教育・健康保険・社会保障によりセーフティ・ネットの充実を図る一方で、高所得者に適用する所得税率の引き上げや、「パス・スルー会社」などを使った節税策に対する課税強化を進める考えだ。独禁法の運用強化など巨大企業を競争に直面させる対策も視野に入れている。

③米国では大規模な財政出動で2021会計年度まで巨額の財政赤字が見込まれるが、成長回復で早期に管理可能な水準まで縮小する見通しだ。しかし低成長が続く日本には財政健全化を強く意識した対策が求められる。