気候変動と金融リスク管理

藤井健司・グローバルリスクアンドガバナンス合同会社代表
聞き手)左三川郁子・日本経済研究センター主任研究員
開催:
08月19日(木) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信はございません。

■講師略歴
(ふじい けんじ)東京大学経済学部卒、ペンシルヴェニア大学ウォートンスクール経営学修士課程修了。81年日本長期信用銀行入行。2004年UFJホールディングスリスク統括部長兼UFJ銀行総合リスク管理部長、06年三菱UFJフィナンシャル・グループリスク統括部副部長兼バーゼル2推進室長。07年あおぞら銀行専務執行役員チーフ・マーケット・リスク・オフィサー、08年みずほ証券リスク統括部長、11年同執行役員。16年同常務取締役常務執行役員グローバルリスクマネジメントヘッドなどを経て、20年7月から現職。東京リスクマネジャー懇談会共同代表。著書に『金融機関のための気候変動リスク管理』、『増補版 金融リスクを変えた10大事件+X』等

■要旨
要旨(頭のスペース無し)

①気候変動が金融リスクを増幅させる懸念が高まっている。気候変動は発現のタイミングやその影響範囲で不確実性が高い。住宅ローンなど信用リスクや市場リスクを増大する可能性があり、金融リスクを増幅させる「ドライバー」となる懸念がある。

②気候変動のリスクは物理的リスクと移行リスクの2つに大別できる。2つのリスクは相互依存関係にあり、両方のリスクを同時に考慮することは容易ではない。気候変動に伴う損失は、所有者が負担する部分も少なくなく、保険料率の上昇という形で顕在化する可能性もある。

③現状、炭素排出を抑制する流れは、グローバルで確定している。抑制はエネルギーや鉄鋼といった排出が多い産業だけでなく、家計やサービス産業を含めた全産業の課題だ。日本の削減目標は英国やドイツと比べても達成難易度は高い。

④金融機関は自社の排出抑制だけでなく、保有する資産負債のポートフォリオがさらされる気候変動リスクの管理が必要だ。間接金融の比率が高い日本では、銀行の役割がカギとなっており、企業を脱炭素社会に向かわせる能動的な対話を実施することが求められる。