コロナ時代のサイバーセキュリティ、新たな脅威にどう備えるか

松原実穂子・NTT チーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
08月24日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(まつばら みほこ) 早稲田大学卒業後、防衛省にて勤務。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院に留学し、国際経済・国際関係の修士号取得。修了後ハワイのパシフィック・フォーラムCSISにて研究員として勤務。帰国後、日立システムズでサイバーセキュリティのアナリスト、インテルでサイバーセキュリティ政策部長、パロアルトネットワークスのアジア太平洋地域拠点における公共担当の最高セキュリティ責任者兼副社長を歴任。2018年より、NTTのチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストとしてサイバーセキュリティに関する情報発信と提言に努める。著書に『サイバーセキュリティ 組織を脅威から守る戦略・人材・インテリジェンス』(新潮社、大川出版賞受賞)

■講演録要旨
コロナ禍こそセキュリティ意識向上を―個々の当事者意識が被害を防ぐ

①コロナ禍において全世界でサイバー攻撃が増加している。急激なテレワークへの移行があったにもかかわらず、新たなIT環境に対応したセキュリティ研修が必ずしも行われておらず、セキュリティ対策が追い付いていないことが一因である。サイバー攻撃の被害は決して他人事ではなく、被害により企業が倒産に至るケースも存在する。

②サイバー攻撃の中でも、社員、元社員が企業秘密を流出させる「内部脅威」や、暗号化したデータの身代金を要求する「ランサムウェア攻撃」が大きく増加している。特に後者は、一企業の業務継続の問題にとどまらず、経済安全保障・安全保障問題に発展する可能性があり、対策が必須である。

③増加するサイバー攻撃への対応に日本政府は本腰を入れ始めており、攻撃者を特定し、責任を負わせる試みについても新サイバーセキュリティ戦略案で触れられている。ただし、サイバー攻撃の被害を防ぐためには、組織の経営者や社員一人一人が自分事としてセキュリティ意識を向上させることが大切になる。