シリーズ DX社会で高まる経済学の力 (第4回)

経済分析を感染症対策と経済活動の両立に生かす

仲田泰祐・東京大学大学院経済学研究科准教授
聞き手)田原健吾・日本経済研究センターデータサイエンス研究室長
開催:
09月06日(月) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(なかた たいすけ)2003年シカゴ大学経済学部卒、カンザスシティ連邦準備銀行入行。12年FRB調査部エコノミスト、同主任エコノミストを経て、2020年から現職、東京大学大学院公共政策大学院准教授を兼任。12年ニューヨーク大学経済学博士 Ph.D.

■講演録要旨
ワクチン接種完了後の世界―医療体制拡充が経済正常化の鍵

①多くの研究者の間で感染症対策と社会・経済活動の両立に向けた議論がなされているものの、両者は別々に分析・議論されており、両立に向けた道しるべとなるものが提示されていない。日本の政策現場における感染症数理モデルの研究・教育体制の脆弱さが背景にある。

②ワクチン接種完了後の未来は不確実性が非常に高い。しかし、標準的な疫学モデルに経済活動を組み込んだ我々の新たなモデルを使った分析によると、医療体制が拡充されれば、緊急事態宣言の発出回数を減らし、累計死亡者数を必ずしも増やさずに社会・経済活動を再開していくことが可能になる。医療体制を強化しないと、非常に暗い未来が待っている可能性がある。

③コロナ危機による社会・経済・文化への「中長期的な負の影響」に着目することが極めて重要だ。新規感染者数などの「公表頻度が高く解釈も容易な」データは、自殺者数といった「公表頻度が低く影響が見えづらい」データに比べわかりやすく、注目を集めやすい。しかし「頻度」が低く、解釈・検証しづらいからといって、リスク評価においてデータの重要性を損なうものではない。