アフガニスタン情勢と国際社会の対応

田中浩一郎・慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
開催:
09月16日(木) 11:00~12:00
会場:
---

*収録動画の配信期間:12月15日まで

*資料の掲載はございません

■講師略歴
(たなか こういちろう) 1985年東京外国語大学ペルシア語学科卒、88年同大学院修士課程修了。在イラン日本大使館専門調査員、 国際連合アフガニスタン特別ミッション政務官、2006年日本エネルギー経済研究所中東研究センター長などを経て、17年9月から現職

■要旨

①アフガニスタンで8月、反政府武装勢力タリバンが破竹の勢いで首都カブールを陥落し、想定外の速さで全土を制圧した。2020年春に米国が国家ではないタリバンと直接、停戦・和平の合意を結んだことから事態は急速に悪化。拙速に撤退を急いだ米国がアフガン政府を追い詰めタリバンを助長し、アルカイダ壊滅と国家再建のミッションを果たせぬまま撤退する結果となった。

②復権したタリバンは女性の権利の保障や公務員の恩赦などを掲げ、以前の強硬な武闘派の時代との違いをアピールしているが、国際社会に認められることを狙った演出に過ぎない。「シャリーア(イスラム法)に基づくイスラム国家の再興を掲げている以上、また指導部の顔ぶれが20年前とあまり変わっていないことから、強権的な行状が大きく変わることはない。

③タリバン復活を地政学的にみると、19世紀後半からの大英帝国と南下する帝政ロシアの覇権争いを再現するような新たな「グレート・ゲーム」の様相だ。インドは中国を背後からけん制しようとした中央アジア戦略が崩壊。米・印と連携する日・豪にも痛手となった。アフガンとインドの挟撃を逃れたパキスタンとともに、背後からの圧力がなくなった中国が得たものは極めて大きい。