シリーズ DX社会で高まる経済学の力 (第5回)

マーケットデザインで考えるスマートコントラクトの未来

野田俊也・東京大学大学院経済学研究科講師
聞き手)田原健吾・日本経済研究センターデータサイエンス研究室長
開催:
10月06日(水) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2022年1月5日まで

■講師略歴
(のだ しゅんや)2014年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。19年米スタンフォード大学博士(経済学)。19年カナダ・ブリティッシュコロンビア大学助教授。21年9月から現職

■要旨

①仮想通貨の最大のインパクトは、スマートコントラクトを可能にしたことにある。送金等の取引の条件を仮想通貨システムの台帳に記入することにより、条件付けられた取引がプログラムにより自動執行され、約束を破らないことヘのコミットメントが可能になった。また管理者に依存せず、システムが存在する限り取引が成立し続けるという継続性ももたらした。費用削減の取り組みが奏功すれば社会に一気に普及する可能性がある。

②スマートコントラクトには、取引を執行できる資産の範囲が狭いなどの技術的な課題も残る。また実体世界の情報をブロックチェーン上にどう嘘をつかずに入力してもらうかという「オラクル問題」については、メカニズムデザイン的な解決が求められる。さらに談合のような犯罪性のある契約がスマートコントラクトによって容易になってしまう社会的リスクへの対策も必要だ。

③仮想通貨のコードを読解し、システムの良し悪しを評価するのは個々の利用者には難しく、自主的に行うインセンティブも小さい。社会のためになるサービスの提供を促し、金融市場全体のリスクを抑えるため、政府が仮想通貨システムの「コード監査」を行うのも一案だ。