脱炭素による産業界のゲームチェンジ-COP26後への視点

本郷尚・三井物産戦略研究所シニア研究フェロー
開催:
10月12日(火) 14:00~15:00
会場:
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*動画の配信は終了いたしました

■要旨
国際的なルールづくりの動き注視を―図式は複雑、情報開示も重要に

①第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の主な論点は、CO₂排出削減の2030年目標の強化や再提出、各国の目標達成の手段や目標達成の確認方法などの実施細則、途上国の脱炭素化の取り組みへの資金支援――である。

②国際的な脱炭素に向けた取り組みを見ると、EU(欧州連合)はCBAM(国境調整メカニズム)の創設を打ち出している。米国も同様の構想を打ち出しており、どう調整するのか注視が必要だ。「カーボンニュートラル製品」の定義をどうするかも今後国際的な議論が進むだろう。

③脱炭素を目指す日本にとって特に重要なのは、エネルギーの安定調達との関係だ。ゼロエミッション燃料についてアジアと連携して進める必要もあると思う。商品のゼロエミッション化に取り組む企業も増えているが、国際的なルールが決まるまでの間は独自の情報開示が一層大切になる。そして、変革の時代の企業のリスクマネジメントとして必要なことは、政策動向などについて定点観測を怠らないことである。

■講師略歴
(ほんごう たかし)1981年早稲田大学政治経済学部卒業、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)入行。フランクフルト首席駐在員、特命審議役・環境ビジネス支援室長などを経て、2011年10月より現職。国際排出量取引協会理事(2012年~)、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員(2017年~)、国際民間航空機関・CORSIAタスクフォース(2013年~)。日経産業新聞のコラム「Earth新潮流」執筆メンバー