追い風吹くEVビジネス―日本の自動車産業は生き残れるか

和田憲一郎・日本電動化研究所代表取締役
聞き手)上原正詩・日本経済研究センター主任研究員
開催:
10月19日(火) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(わだ けんいちろう)1989年三菱自動車入社、2005年新世代電気自動車の開発責任者に任命され「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の開発に着手。MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクト・マネージャーに就任。急速充電に関するCHAdeMO協議会にも参画。2015年日本電動化研究所を設立し代表に就任

■講演録要旨
自動車ゼロエミッション、主要国で規制強化―欧州では2035年にPHEVも禁止、2028年までに対応を

①世界各地で自動車産業への環境規制が強化されている。欧州では、欧州委員会からガソリン車、ディーゼル車のみならず、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車も含めた自動車の新規販売を2035年に禁止し、電気自動車を中心とするゼロエミッション車に全面的に切り替えるという法案(ドラフト)が出された。米国でもカリフォルニア州がゼロエミッション車の2035年の100%義務化を発表している。まだ時間があるようだが、法規実施を考えると、フルモデルチェンジの最終タイミングは2028年であり、あと1回といえよう。

②中国でも2035年にガソリン車が廃止となる可能性が高い。上汽通用五菱汽車の「宏光MINI EV」の爆発的ヒットもあり、今後年間100万台以上の「ミニ電気自動車」市場が誕生する可能性がある。2021年は中国での電気自動車の販売が欧州を抜くとみられ、アジアでも中国製EVが席捲するかもしれない。

③欧州では、自動車に関してのCO2排出基準に関する規制だけでなく、航空燃料、海運、船舶などの規制も進んでいる。日本企業は船舶、建設機械、農業機械のゼロエミッション化にビジネスチャンスを見出すことが可能だ。日本政府も2035年までに自動車の電動化100%を目指すとしており、電気自動車化の流れが加速することが予想される。新型電池の開発など日本がゲームチェンジャーになる道もまだ残されている。