- 開催:
- 10月08日(金) 11:00~12:00
- 会場:
*収録動画の配信は終了いたしました
■講師略歴
(せきね としたか)1987年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。国際通貨基金出向、調査統計局長、金融研究所長などを経て、2020年から現職。オックスフォード大学経済学博士。専門は金融政策、マクロ経済
■講演録要旨
人口動態の変化がもたらした自然利子率の低下―社会保障・労働市場改革が急務
①消費者物価指数(CPI)の基準改定を受け、CPIは前年比マイナス圏へと落ち込んだ。刈り込み平均指数ではマイナスというわけではないが、同じく刈り込み平均でみた米国のインフレ率は2%近いのに対し、日本は0%近傍と未だ低水準だ。日本はデフレ均衡から抜け出すことができず、厳しい状況が続く。
②日本では人口動態の変化に伴い高齢者の資産蓄積と労働力の減少が進み、自然利子率は低下した。社会保障改革と労働市場改革が必要だ。健康な高齢者が働き続けることができる環境整備が求められる。成功すれば高齢者の資産蓄積行動も変わり、自然利子率の低下を食い止めることができるかもしれない。
③社会保障と労働市場の構造改革を実現するには、景気循環的には「高圧経済」であることが望ましい。日銀はこれまで非伝統的金融政策を実施してきたが、すでに金利は長期・短期ともにゼロ下限にあり、使えるのりしろはない。短期的に景気を上向かせるには、財政拡張も選択肢として考える必要がある。