岸田政権「新しい資本主義」への期待と課題

木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト
開催:
11月24日(水) 15:00~16:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2022年2月23日まで

■講師略歴
(きうち たかひで)1987年早稲田大学政治経済学部卒、 野村総合研究所入社。2007年野村證券金融経済研究所経済調査部長兼チーフエコノミスト、12−17年日本銀行政策委員会審議委員などを経て、17年から現職

■講演録要旨
企業の成長期待高める政策を―構造改革・規制緩和重視で

①岸田首相は「新しい資本主義」で成長と分配の好循環を目指すと言うが、「令和版所得倍増計画」などのキャッチフレーズをみると、成長よりも分配を重視しているようにみえる。短期的にはコロナで影響を受けた人々への支援など分配に配慮した政策が必要だが、中長期的には構造改革や規制緩和を進めるなど、日本経済の潜在成長率を高める政策を打ち出してほしい。

②企業は将来の成長期待が高まれば投資を前倒しし、これが潜在成長力を高めることにつながる。成長期待を高めることなしに、賃金だけを上げようとしてもうまくいかない。この数十年間賃金が上がらないのは、基本的には経済が成長していないからだ。企業が利益を貯め込んで十分賃金を払っていないという批判があるが、労働分配率などの統計を見るとこの批判は正しくない。

③東京圏への人口の一極集中の是正につながるデジタル田園都市構想には期待をしている。また、デジタル円の議論は、中国のデジタル人民元に対抗するというよりも、キャッシュレス化、デジタル化を前に進めて経済の効率を高め、国民の利便性の向上に寄与するという観点から進めてほしい。流通・サービス業など生産性の低い業種から他業種への転換支援も行ってほしい。