バイデン政権1年の米国―米中対立を軸に

佐橋亮・東京大学東洋文化研究所准教授
聞き手)伊集院敦・日本経済研究センター首席研究員
開催:
12月14日(火) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(さはし りょう)国際基督教大学教養学部卒、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。オーストラリア国立大学博士研究員、神奈川大学教授などを経て、2019年から現職。近著に『米中対立』

■要旨
中国念頭の新しい国際秩序形成―国際環境と国内要因への意識

①バイデン政権は非常に民主党らしい政権である。ビジョンを広げていく姿勢がはっきりしている。ただし、実行力が伴わないということや内政面での弱さなど悪い点も全面に出ている。

②米中関係は、近年悪化している。米国の「慢心」と「中国に対する期待」が失われたからである。 関係が悪化したオバマ政権末期以降、中国を念頭に置いた様々な政策が採られるようになった。

③バイデン政権の問題意識は、米国の覇権と中国を念頭に置いた国際秩序のアップデートであるがその中身は国際環境と国内要因が併存していることが伺える。米国は新たな経済安全保障の枠組みを作り、枠組みを組み合わせることで米国主導での多国間協力の活性化を図っている。いずれにせよ経済安全保障の枠組みが急速に拡大していることは見逃してはいけない。

④米中首脳会議は「対話のための対話」であった。首脳会議後の動きをみても米中対立の構造に変化がないことが確認できるし、2020年代を通じてこの構造は継続するであろう。

⑤日本企業は米中対立によるグローバル化の制約、「窮屈さ」への慣れが必要であり、米国と中国の政策の応酬に自社のインテリジェンスを持つ気概が必要であり、今後の経営課題とも言える。