岸田政権の経済政策と財政運営

土居丈朗・慶応義塾大学経済学部教授
開催:
12月17日(金) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信期間:3月16日まで

■講師略歴
(どい たけろう)1993年大阪大学経済学部卒、99年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。慶応義塾大学准教授などを経て、2009年から現職。経済学博士

■要旨
成長へ財政で「供給サイド」支えよ―基礎的収支の黒字化、税収増で視野に

①2021年度の一般会計の公債依存度は46%程度と2020年度に比べると低くなるが高水準が続く。また、コロナ対応の財政出動などで国債の発行額が膨らむにつれて、国債の満期構成が短期化し、20年度は発行額の過半が満期2年以下となり、21年度もこの傾向が続く。いわば「自転車操業」の状態である。いつまでも金利がゼロというわけにはゆかず、金利上昇は財政の安定にとってリスクである。徐々に平時の予算に戻していくことが岸田政権の課題だ。

②岸田政権は、財政政策のうち所得再配分機能を重視していると言われるが、成長と分配、効率性と公平性のバランスをとるためには、財政の資源配分機能を活かして供給サイドを支える政策も強化する必要がある。半導体不足などのサプライチェーンの障害をなくしたり、将来の経済成長につながる部門への資源投入を促したりすることが重要になる。

③2021年度上半期の税収は前年同期比で10.2%の増加となった。この税収の上振れを前提に試算すると、保守的な経済前提の下も、消費税を引き上げなくても25年度にプライマリー・バランス(基礎的財政収支、PB)を黒字化することが可能だ。消費税の次の引き上げは、低年金高齢者への追加給付などが課題になる2030年前後には必要になるのではないか。