- 開催:
- 04月07日(木) 10:00~11:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
*動画の配信は終了いたしました
■講師略歴
(よしかわ ひろし) 1978年イェール大学大学院経済学博士課程修了、Ph.D.(イェール大学)。93年東京大学経済学部教授、2009年同大学大学院経済学研究科長・経済学部長などを経て、16年から現職。16-22年3月立正大学学長
■要旨
成長の源泉はイノベーション―人的資本充実がその原動力に
①資本主義が誕生してからのおよそ200年、問題が山積し先が読めない時代の連続であった。特に、経済成長をどう達成するか、所得をどう分配するかが大きな問題であり、格差の存在は、社会に致命的な傷を与え、国の体制を変える原因にもなった。資本主義の歴史は格差の問題に向き合ってきた歴史でもある。
②英国では19世紀末フェビアン社会主義という思想が現れた。資本主義は放任すると格差を広げるため、政府が介入して再配分をする必要があるというもので、再配分の具体的な手段として社会保障制度が生まれた。戦後は米国中心に「市場原理主義」が台頭したが、極端な形で格差を広げたため、リーマンショックを機に頓挫している。
③資本主義の在り方の模索が続く中で、我が国の岸田文雄政権は「成長と分配の好循環」を目指すという「新しい資本主義」政策を打ち出した。ただ、「成長」を生み出す源泉となるのは、シュンペーターが言うようにイノベーションであり、その原動力となるのは人的資本である。そのあたりの具体策が弱いように思う。