検証:物価上昇はさらに進むのか

前田栄治・ちばぎん総合研究所取締役社長
開催:
04月08日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:7月7日まで

■講師略歴
(まえだ えいじ) 1985年東京大学経済学部卒業、同年日本銀行入行。89年米国ノースウェスタン大学経済学部大学院留学。調査統計局長、金融市場局長、理事等を経て、20年から現職

■要旨
エネルギー起点の物価高、景気下押しで持続せず―米欧に比べ日本経済の回復力弱く

①世界的にインフレが強く意識されているが、米欧の消費者物価上昇率が7~8%まで高まってきたのに対し、日本はゼロ%近傍で推移している。経済の回復力の違いが背景にある。米国の場合、大規模な財政金融政策で消費や住宅投資が増えたが、日本の場合、財政支出はほぼ個人金融資産を積み上げる結果に終わっている。公共料金や賃金の上昇が鈍いことを含め物価観が異なることも、米欧に比べ日本の物価上昇率が低い理由だ。

②日本の足元のコア・インフレ率や今後のインフレ期待についての調査結果をみると、多少上昇はしているが、それでも量的・質的緩和後のピーク程度で、今後1%を超えていくという明らかな兆候はみられない。「価格から質へ」という消費者志向の変化やコスト上昇を価格に転嫁しようとする企業行動の変化も出始めているが、大きな流れにはなっていない。

③春以降に消費者物価前年比が2%程度まで高まるとみられるが、主因は国際商品市況の高騰だ。資源高で国内の所得が海外に流出すると、消費や賃上げの抑制といったマイナスの影響が出る。つまり、今の物価上昇は、コスト高に悩む企業の値上げ圧力と景気の下押し圧力との綱引きの中で起きている。原油価格などの上昇が一服すれば、物価上昇が一時的なものに終わる可能性がある。