中国、一帯一路におけるデジタル戦略と日本の対応

持永大・芝浦工業大学システム理工学部准教授
聞き手)伊集院敦・日本経済研究センター首席研究員
開催:
04月13日(水) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信期間:7月12日まで

■講師略歴
(もちなが だい) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科修了、博士(工学)。三菱総合研究所などを経て、2022年から現職。 慶応義塾大学SFC研究所上席所員を兼任。情報通信技術、サイバーセキュリティ、および外交・安全保障政策に関する調査・研究に従事。近著に『デジタルシルクロード 情報通信の地政学』

■要旨
激しいサイバー空間の覇権争い―構造的パワーの強化が日本の課題

① 2010年代後半から、中国は「一帯一路」構想の一環として情報通信分野における取り組みを強化した「デジタルシルクロード」構想を大々的に打ち出している。中国企業が開発した情報通信技術を利用したプロジェクトを推進するため新興国、特に東南アジア諸国やインド洋周辺国を中心に、中国政府と民間企業が共同で資金・技術提供を盛んに行っている。

② 欧米や日本などの西側諸国は、「デジタルシルクロード」構想が中国の情報通信技術に基づいていることから、安全保障上の懸念、知的財産の窃取、プライバシーの侵害などに強い懸念を持つ。それらは重要な論点だが、中国の戦略的な目的を理解する上では不十分だ。中国が究極的に目指している目標は、デジタル分野における国際的な技術標準を主導する地位を獲得することだ。

③ 中国はさらに、国際的なサイバー空間のルール形成にも積極的に関与する意欲を見せている。例えば、自国の情報セキュリティに関する法制度の枠組みが国際的な課題の解決策になると主張している。ただし、広い支持は得られていない。日本は「自由で開かれたインド太平洋」構想のように自由貿易の普及・定着、経済的繁栄、平和と安全の確保を他国と共同で推進することが重要だ。