ロシアによるウクライナ侵攻の衝撃

兵頭慎治・防衛省防衛研究所政策研究部長
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
04月14日(木) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:7月13日まで

■講師略歴
(ひょうどう しんじ) 1994年上智大学大学院国際関係論専攻博士前期課程修了、外務省在ロシア日本大使館専門調査員、内閣官房国家安全保障局顧問などを経て、2020年から現職。専門はロシア地域研究(政治、外交、安全保障)、国際安全保障論

■要旨
5月9日へ戦果を焦るロシア―米主導の国際秩序への再挑戦

①ロシアがウクライナへの大規模な軍事侵攻を実行した背景には、自国の影響圏と考えていたウクライナのNATO加盟への動きや冷戦終結後の欧州安全保障体制への被害妄想が挙げられる。そのような背景の中、バイデン政権の東アジアへの焦点の移動がロシアの軍事侵攻決断の後押しとなった。これを機にロシアは冷戦終結後、アメリカ主導で形成された欧州秩序に反撃を試みている。

②杜撰な軍事オペレーションやウクライナ軍の善戦によって、ロシア軍はキーウ陥落に失敗した。今後、東部ドンバス地方での戦闘が重要となる見込みだ。ドンバス地方の戦闘でロシア軍が苦戦すれば、生物化学兵器や戦術核が使用される懸念がある。欧米各国は軍事物資の支援は行うが、核戦争への懸念から直接派兵には慎重である。停戦交渉もトルコで実施されたが、両国とも交渉を有利に進めるため、東部の戦闘を優先しているのが現状である。

③政権基盤の固いプーチン大統領だが、戦費や経済制裁の問題などから5月9日の対独戦勝記念日までにドンバス地方を完全に制圧し、戦果として国内にアピールすることを最優先としている。プーチン大統領は24年の大統領選挙を見据え、ウクライナ情勢に関して意思決定を行うだろう。