ウクライナ危機後の世界秩序

中西寛・京都大学大学院法学研究科教授
開催:
05月18日(水) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました

■講師略歴
(なかにし ひろし)1962年大阪府生。京都大学法学部卒、京都大学大学院、シカゴ大学歴史学部大学院、京都大学法学部助教授を経て2002年から現職。法学修士。専門は国際政治学、特に20世紀国際政治史、安全保障論、日本外交論を中心に研究。著作に『国際政治とは何か-地球社会における人間と秩序』(中公新書)、(共編著)『高坂正堯と戦後日本』(中央公論新社)、(共著)『転形期の世界』(PHP新書)など。

■要旨
インド太平洋が台頭、日本にも役割―多様化する世界で普遍的価値問う

①ロシアのウクライナへの「特別軍事作戦」は実際には大規模な軍事侵攻で戦争状態になった。この戦争はこれまで首都キーウ(キエフ)を巡る攻防戦と、キーウ攻略失敗後の東部制圧戦の2段階になっていて、西側諸国はロシアへの経済制裁やウクライナへの軍事支援を活発にしている。

②ウクライナ戦争の今後は、3つのシナリオが考えられる。第1は戦闘の長期化と休戦で、国際社会の分断が進む可能性も高い。第2は戦争の拡大。このシナリオではロシアがNATOを攻撃するなど破局的な展開の懸念も排除はできない。第3はプーチン氏の退陣などロシアの政治変動だが、この場合も平和的に進む可能性は低いと考えざるを得ない。

③世界の長期トレンドを考えることも重要だ。1つは世界秩序の21世紀型への変化で、「ヒト・モノ・カネ」の回転拡大などの流れは限界を迎えている。2つ目は情報文明への移行で、大量消費工業社会の問題にも向き合う必要がある。そして3つ目はインド太平洋世界の台頭である。世界の秩序の在り方は多様だ。多元的な世界と普遍的な価値の関係性を示すことは、多様な価値観を理解できる日本の役割といえる。