- 開催:
- 05月24日(火) 14:00~15:00
- 会場:
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*動画の配信は終了いたしました
■講師略歴
(えんどう けん) 北海道大学大学院法学研究科修了、英オクスフォード大博士課程修了。北海道大学法学部助教授、同大学大学院法学研究科・公共政策大学院(HOPS)教授などを経て2022年から現職。2019~20年度HOPS院長。専門はEU、安全保障、国際政治
■要旨
独裁制がもたらした侵略戦争―EU大国の変容と結束促す
①今回の戦争はロシアのウクライナに対する一方的・軍事的な領域侵犯により起きた戦争である。戦争が起きている範囲はウクライナ1国にとどまり、交戦している国はロシアとウクライナだけ、使われている兵器も通常兵器にとどまるという、限定戦争である点が重要だ。
②戦争がなぜ起きたのかは国際システム、国家、個人という、3つのレベルで考えることができる。国際レベルでは、西側がロシアを追い込んだ、または逆に威嚇が足りなかったという見方のほか、ソ連という帝国の崩壊の余波と考えることもできる。国家レベルではロシアの独裁体制強化と、東欧などで起きた民主化の波を背景として考えたい。個人レベルではその独裁体制を強めているプーチン大統領の帝国復活願望などが背景として挙げられよう。
③戦争はドイツに経済・軍事の分野で大きな変容をもたらした。エネルギーの対ロシア依存度を下げる方向に動く一方、ウクライナへの軍事的支援に乗り出している。ただし自ら攻撃しないことで平和を保つという原則は変えていない。フランスも穏健派のマクロン大統領が再選されたので、民主的な安定した政治が続くことになる。