第59回通常総会講演
3期目に向かう習近平体制と日米中露関係

国分良成・慶応義塾大学名誉教授、前防衛大学校長
開催:
06月16日(木) 14:30~16:00
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム

*動画の配信は終了いたしました

■講師略歴
(こくぶん りょうせい) 1981年慶応義塾大学大学院博士課程修了。92年慶応義塾大学法学部教授。東アジア研究所所長、法学部長等を経て、2012-21年防衛大学校長。2019年から現職。日本防衛学会会長。法学博士

■要旨
習近平政権、米国と関係改善探る―中露は離間、台湾問題は現状維持に

①中国政府は昨年春の米国の政権交代に伴う米国内の分断に付け込む形で、外交面で攻勢に出たが米国側がそれほどやわでないとわかり、方針を転換した。数か月以内にはオンラインか実際に会うかは別にして、米中首脳会談が開かれる見通しだ。習近平国家主席は今後5~10年政権を担うことになる。それだけの長期間、習近平が米国とケンカを続けるということは得策ではない。

②習近平政権は反腐敗運動をテコになお権力闘争を続けている。また、経済成長減速に伴う国内の不安定な状況を押さえ込むために、監視社会をつくりあげ、民間企業に対しても締め付けを行った。しかし、今年秋の共産党大会で3期目入りを目指す習近平氏は、李克強首相にコロナで低迷した経済の立て直しを指示、李首相はこれまでの習路線とは違う経済政策を打ち出し始めた。

③ロシア軍のウクライナ侵攻は、中露の離間を招いたとみられる。一方、米中両国の政府は本音では当面台湾問題は現状維持しかない、と考えているようだ。そうした中で、日本として主体的にどうすべきなのかという議論がないのが気になる。例えば、米中が限定的でも和解したとして、それが日本にプラスかマイナスかを分野ごとに議論し、今後とるべき方策を考えてみてはどうか。