- 開催:
- 06月30日(木) 15:00~16:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました
■要旨
製品販売中心のビジネスを変える試み―モノの循環だけでなく仕組み作りが重要
①サーキュラー・エコノミー(CE)の概念を、EU(欧州連合)は政策パッケージとして打ち出した。使って捨てるだけのリニアエコノミーにならないように、色々な循環を組み合わせた経済システムを作ろうという考え方だ。環境だけではなく競争力強化のための政策だとしている。
②CEの本質は資源消費と豊かさのデカップリング(分断)、すなわち製品販売が中心のビジネス社会を変えていこうという考え方だ。廃棄物に対する「責任」に主眼があったこれまでの日本の「循環型社会」とは異なる。ビジョンと技術(シーズ)の間の中間(メゾ)領域で、どんな社会を目指すかといった議論が重要になる。
③企業にとっては、リサイクルしやすい製品設計だけでなく、廃棄までの製品のライフサイクル全体のデザインを求められるようになる。CEによってサプライチェーンも大きく変わりつつある。欧州の政策がCEの唯一の解ではない。日本企業はモノづくりの質の高さを生かしながら、サービスとも組み合わせ、仲間となる企業を増やしていくといった方向性があるのではないか。
■講師略歴
(うめだ やすし) 1992年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。東京大学、東京都立大学、大阪大学を経て、2014年1月より東京大学教授、2019年4月より同大学院工学系研究科人工物工学研究センター教授。グリーン購入ネットワーク会長、エコマーク運営委員会委員長、精密工学会ライフサイクルエンジニアリング専門委員会委員長、経団連21世紀政策研究所研究主幹なども務める。国の委員も多数、ISO TC323 (サーキュラーエコノミー) CAG (Chair’s Advisory Group)メンバー。専門は、ライフサイクル工学、サステナブル・マニュファクチャリング、次世代ものづくり、設計学、メンテナンス工学。著書は「サーキュラーエコノミー〜循環経済がビジネスを変える」(勁草書房)など。