<日経センターアジア研究報告>

東アジアリスクと日中関係

宮本雄二・宮本アジア研究所代表(元駐中国大使)
季衛東・上海交通大学教授、日本研究センター長
司会)伊集院敦・日本経済研究センター首席研究員
開催:
07月14日(木) 14:00~15:30
会場:
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*収録動画の配信期間:10月13日まで

■講師略歴
(みやもと ゆうじ) 1969年外務省入省。軍縮課長、中国課長、駐アトランタ総領事、軍備管理・科学審議官、駐ミャンマー特命全権大使、沖縄担当大使を歴任後、駐中国特命全権大使を経て、2011年から現職

(き えいとう) 1957年中国南昌市生まれ。83年北京大学法律学系卒業、京都大学大学院法学研究科、神戸大学大学院法学研究科教授、上海交通大学凯原法学院院長を経て、2018年から現職。法学博士。中国法と社会研究院長、中国コンピュータ協会計算法学研究会長

■要旨
「新冷戦」で東アジアも分断の危機―中国のシグナル読み解く必要

①ロシア軍のウクライナ侵攻が、西側諸国のロシアに対する極めて強烈な対応につながり、さらに中国がロシアと一体視されるに至って、冷戦構造が復活しつつある。これにより、中国は、日本を含む西側主導の国際経済から離れていく結果となった。しかし、客観的に中国は西側経済を必要としているし、そこから離脱することは中国の基本国策にもその利益にも反する。

②中国の台頭を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)やインド太平洋構想が生まれ、関係国の間に相互不信が高まり、アジアと太平洋地域に亀裂が生じた。国連や世界貿易機関(WTO)など現行の国際法体制を守るか、主要7カ国首脳会議(G7サミット)や北大西洋条約機構(NATO)が新しい国際秩序を作るのかで見解の相違がある。

③最近、中国の経済成長率が低下してきた。一方、米国のインフレ率が上昇した。各国にとって経済の問題が優先課題になってくる可能性がある。また、今年秋の共産党大会以降、中国は今よりは国際社会と共存を図る方向に転換する可能性が高い。中国の報道は国際社会から誤解を招くこともあるが、中国政府から発信されているシグナルを正確に読み解くことが重要だ。