急性インフレと慢性デフレの行方

渡辺努・東京大学大学院経済学研究科教授
聞き手)左三川郁子・日本経済研究センター主任研究員
開催:
07月26日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:10月25日まで

■講師略歴
(わたなべ つとむ) 1982年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。92年ハーバード大学Ph.D.(経済学)。一橋大学経済研究所教授を経て、2011年から現職。ナウキャスト創業者・技術顧問。近著に『物価とは何か』

■要旨
慢性デフレ克服の鍵は賃上げ―インフレ予想には変化の兆し

①欧米を中心とした世界的なインフレの背景には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴う「後遺症」がある。「後遺症」とは具体的に、労働者が労働市場への復帰を忌避する「労働者の行動変容」と、サービスからモノへと需要がシフトする「消費者の行動変容」の2つである。

②「急性インフレ」が深刻な欧米とは異なり、日本では「急性インフレ」と「慢性デフレ」の2つの病を抱えている。欧米はインフレ対策で金融引き締めを進めるが、多くの品目の価格が動かない「慢性デフレ」も抱える日本での金融引き締めはデフレをより深刻なものとしうる。

③日本が抱える「慢性デフレ」克服のための鍵は3つある。1つ目はインフレ予想の上昇、2つ目は消費者の値上げ耐性の改善、3つ目は賃金の上昇である。1つ目と2つ目については、足元で改善の兆しがみえており、残る鍵は賃上げだ。賃上げに対してどのような政策が必要になるのか今後議論していく必要がある。