- 開催:
- 08月04日(木) 11:00~12:00
- 会場:
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*収録動画の配信はございません
■講師略歴
(やまわき たかふみ) 2002 年東京大学大学院航空宇宙工学専攻修了。モルガン・スタンレー証券入社、債券ストラテジストやポートフォリオ分析などに従事。BNP パリバ証券シニア債券ストラテジストを経て、10年JP モルガン証券にチーフ債券ストラテジスト、17年から現職
■要旨
インフレ対応最優先の米国と景気対応を迫られる欧州―日銀の連続指し値オペで円債市場内での分断が顕著に
①2022年後半は、米国が引き続きインフレ抑制を最優先とした金融政策を続ける一方で、ユーロ圏は景気後退とインフレ対応のバランス感を求められる金融政策に移行し、両国の乖離が目立ちそうだ。米国では政策金利は3.5%以上にまで引き上げられると予想しているが、ユーロ圏では景気後退懸念によって9月に政策金利を0.5%まで引き上げた段階で利上げを一旦停止すると予想。
②日銀の金融緩和政策の巻き戻しが行われるのは、2023年4月の黒田総裁の任期満了後となりそうだ。日本の債券市場は、次期総裁に関する観測記事が出始めるであろう年末頃から来年4月まで、次の金融政策を見定める長い消耗戦になる。
③イールドカーブを点で支える指し値オペが市場機能の低下を招いている。海外投資家による先物売りに対抗するために、日銀は先物価格と連動するチーペスト銘柄の指し値オペを実施。これにより先物価格とチーペスト銘柄の価格が完全に乖離し、国債先物市場の流動性が崩壊した。また、毎営業日指値オペによって10年以下と10年超の間で分断も深刻化し、国債市場の流動性は大きく低下した。10年以下と分断した超長期債市場は、需給面から金利上昇圧力がかかりやすい。