- 開催:
- 08月22日(月) 14:30~16:00
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム
*収録動画の配信および、資料の掲載はございません
■講師略歴
(しらかわ まさあき) 1972年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。2002年理事。06年京都大学公共政策大学院教授、08年3月副総裁、4月−13年3月総裁。11-13年BIS理事会副議長、9月青山学院大学国際政治経済学部特任教授、18年から現職。『中央銀行』で19年度日経・経済図書文化賞および20年和辻哲郎文化賞受賞
■要旨
必要となるグローバル化の「両面作戦」
①グローバル金融危機後、グローバル化の後退現象が起きている。豊かな社会を作るためには、グローバル化の便益を最大限引き出す努力とグローバル化の行き過ぎへの対応の努力の「両面作戦」が必要であり、この点に関する意識的な努力が行われないとグローバル化は後退し生活水準も低下する。
②中央銀行はグローバル化の中で、金融政策、金融規制・監督、決済システム、国際通貨制度といった中央銀行に関係するどの分野でも課題に直面している。関心は金融政策や国際通貨制度に集まりやすいが、具体的な成果の潜在的な大きさを考えると、リターンの高い金融規制監督や決済システム面での協力に多くのエネルギーを注ぐことが求められる。
③中央銀行間のグローバルな協力体制は重要である。金融政策の面では、グローバルに見て、金融政策の枠組みの見直しやその背後にある知的モデルの見直しが不可欠である。各国の中央銀行が幹部レベルで率直に意見交換し、“enlightened self-interest(啓発された自己利益)”を認識することを期待したい。
④日本はグローバル・スタンダードの形成への働きかけという面で対応が遅れており、共通の言語「英語と理論的枠組み」と人的ネットワークが必要となる。