- 開催:
- 09月07日(水) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム
*収録動画の配信および、資料の掲載はございません
■要旨
世界の体制移行に後れをとる日本―「ショック・セラピー」不可避か
①ダボス会議やその理事会に出席して感じたのは、まず世界のリーダーたちが世界経済の見通しをかなり悲観的に見ていることだ。また食料問題は日本ではほとんど認識されていないが、彼らはエネルギー問題以上に深刻に考えている。さらに中国とロシアの結束を防ぐためにどのように対処するべきか、日本と欧米で立場の違いも明らかになった。
②冷戦後の世界秩序は終焉を迎え、世界は新たな体制移行(トランジション)の時期に差し掛かっている。日本はデジタル化や第4次産業革命において世界に後れをとっている。「セキュラー・スタグネーション」(長期停滞)を回避するためにも、岸田政権はまず国内のGDPギャップ解消に向けた政策を打ち出すべきである。5Gの共同アンテナへの公共投資、マイナンバーカード保有者への現金給付などを提言したい。
③G7サミットで一定の成果を収め、その後に解散総選挙を行うことで、岸田政権は長期政権への足掛かりをつかむことができるだろう。ただ足元の支持率低下を乗り切り、旧来の官僚的な政策立案の体制でなく、ブレークスルー型の政策が生まれる体制が求められる。2030年から2035年頃にかけて米中逆転、高齢化社会の深刻化など社会に決定的な変化が起きる。日本も「ショック・セラピー」を余儀なくされる可能性は高いのではないだろうか。